情報の海におぼれる僕たち

世界はすでに人類が探索し尽くした。
テレビカメラが入っていない場所などないと言っていいくらい。
インターネットには無数の動画や写真や文章があふれている。
あらゆることに関する本やWebページがあって、事前に調べられないことなどないように思える。
だからどこに行っても、何をやっても、二番煎じの後追いで新鮮みがない、つまらない、と思っていた。

でも最近、それは違うんじゃないか、と思う。
いくら情報を見たとしても、実物をこの目で見るまで、すべてのものは永遠に未知なんじゃないかと。

情報とは、人類にとって既知のことがらにすぎない、と思う。
それを個人にとっても既知だと思うと、なんでも面白くなくなってしまうんじゃないか。

いくら本で読み、写真やビデオを見て分かったつもりにでいても、実際に見るとずいぶん感じが違うことがよくある。というか、いつもだ。
川辺の草ひとつとっても、限りない細部がある。世界をすべてを漏らさず情報として描ききることなど、できっこないんじゃないか。

そう考えると、情報はずいぶん不完全でたよりないものに思える。
情報を見て分かった気になるのは、妄想のようなものなのかもしれない。

もっと出かけようと思った。